こんにちは。華iroです。
今回は地域包括支援センターであった相談事例です。
地域包括支援センターの詳しい記事はこちら☟

この記事は、実体験を基に作成していますが、個人の特定がされることのないよう一部フィクションを交えています。
part2は、認知症のおばあちゃん(仮にAさんとします)と二人暮らしの娘さん(仮にBさんとします)とのお話です。
愛情が欲しかった娘
Aさんが、認知症を発症したのは2年程前。父親が他界してから、Bさんと二人で暮らしていました。
昔から厳しかったAさんは、あまり要領が良くないBさんに対してきつく当たっていて、もう一人の要領の良い娘(仮にCさんとします)と良く比較していたそうです。
Bさんは、Aさんに何を言われても耐えていました。
そのためなのか、母親を介護することで「自分が母の役に立っている」と思えることがとても嬉しかったそうです。
母親の異変
Aさんの異変に初めに気づいたのはCさんでした。
Cさんは、結婚して一緒には住んでいなかったものの、近くに住んでいたのでたまに顔を出していました。
そんなある日、Cさんが、「以前より物忘れが進んでいる気がする」とBさんに言いました。
Bさんは、年相応のものではないかと思っており、何より元々冷たく当たられていたので気づかなかったそうです。
それが決定的になった出来事がありました。
なんと、Aさんが散歩に行くと言ったまま夕食の時間になっても帰ってこなかったのです。
何かあったのではないかと思い、AさんとCさんで探していると、近所の人が連れて帰ってきてくれました。
たまたま近くのお店でAさんを見つけて声をかけたそうです。
話を聞くと、どうも家までの帰り道がわからなくなってしまったそう。見たことのあるお店だったので入ってみたとのことでした。
絶対におかしいと言って、次の日にCさんがAさんを病院に連れて行きました。すると…
アルツハイマー型認知症と診断が下りました。
今後のことを考えると、早めに施設に入れた方がいいんじゃないかというCさんに対し、Bさんは、「私が面倒を看る」と言い切ったそうです。
「どうせ要領の悪いBにできるわけない」と思っていたCさんでしたが、Cさん自身は面倒を看るつもりはなかったため好きにすればという感じで了承しました。
ここからBさんの介護生活が始まりました。
徐々に進む認知症状
始めのうちは、以前とあまり変わらない生活を送っていました。怒鳴られる回数が少し増えたくらいにしか思っていなかったそうです。
しかし、症状は確実に進んでいました。
その頃から、Aさんは度々夜中に外出しようとするようになり、初めはその都度後ろをついて行ってたBさんでしたが、ある日、Bさんがついて行く前に外の階段を踏み外して転倒してしまったのです。
幸い命に別状はありませんでしたが、右足を骨折。長い入院生活で、移動には車椅子が必要な生活になってしまいました。
それでも施設に入れようとはしなかったBさん。
本人が家に帰ると言い張ったこともあり、再び自宅に戻ることになりました。
良かれと思ってしたことが…
Bさんは一人で介護をし続けました。
本人が家に人が来るのを嫌うため、ヘルパーも頼めない。デイサービスも行きたくないと言うので預けることもできない。車椅子も自分で購入し、用具のレンタルすらしませんでした。
Aさん本人も「全てBがすればいいんだ」という感じだったため、中々サービス利用に繋げることができません。
そんな時、久しぶりに家に来たCさんが妙な事に気づきました。
Aさんがベッドから全く動こうとしないのです。
退院した時のAさんは、車椅子の乗り降りくらいは自分でできていました。
しかし、Cさんが行った時には寝たまま会話をし、その会話も支離滅裂で、全く会話になりませんでした。
でもその理由はすぐにわかりました。
Bさんが献身的になるあまり、必要以上に介護していたのです。
Aさんに車椅子への移動、食事、お風呂に至るまで、自分では何一つしておらず全てBさんが手伝っていたのです。
しかも元々要領が良くないBさん。慣れない介護であちこちぶつけ、Aさんに怒られという繰り返しでした。
ここでいよいよBさんには任せられないと思ったCさんが相談に来られました。
ケアマネジャーがついていない
ケアマネジャーについての記事はこちら☟

介護認定を持っていたAさんですが、なんとケアマネジャーがこの時点ではついていなかったのです。
Cさん曰く、病院に勧められて介護保険の申請をしに行ったが、どうせサービスを利用することはないから必要ないとBさんが拒否したとのこと。
とりあえずAさんに話を聞きにいくことになり、Cさんと訪問すると…

必要ありませんので、帰って下さい
門前払いでした。
どうしようもなく、とりあえずCさんからBさんに話してみるということでその場は帰りましたが、これから施設か在宅か。どちらにせよ何か支援をしなければ二人とも共倒れになると思っていました。
在宅介護の終わり
訪問してから3日程経った日、Cさんから思いもよらない電話が。



どこでもいいからAさんが入居できる施設を探してほしい
と言うのです。
話を聞くと、なんと今度はBさんが転倒し、利き腕を骨折してしまったとのこと。
家事もできず、自分のこともままならないのに介護はできないだろう。満足できなければきっとAさんは怒る。とCさんが施設への入所を説得したそうです。
Cさんの気持ちが変わらないうちにということで、急遽受け入れ可能なところを探すことに。
しかし、1日ですぐ入所というわけにはいかず、現状Aさんは一人では何もできない状況だったため、主治医に事情を話して一旦入院させてもらうことになりました。
その間にBさんとCさんが何件か施設の見学に行き、その中の一件に無事入所することになりました。
介護施設に関する記事はこちら☟


まとめ
いかがでしたか?
今回はBさんが本人が出来ていたことまで手伝うことで、結果的に症状が悪化してしまったということでした。
それでも誰もBさんを責められません。
元々の関係性もあって、どちらかというと共依存という関係に近かったのかもしれませんが、BさんはBさんなりに必死に介護されていました。
もっと早くに介入できていれば、ここまでAさんの症状が悪化しなかったのではないか。Bさんも辛い思いをしなくて済んだのではないかと思わざるを得ない出来事でした。
必ず家族が看なければいけないということはありません。
一人で悩むよりまず誰でもいいので、相談して下さい。
そして、周りに同じような方がいたら声をかけてあげて下さい。本人が言わないだけで辛い思いをしているかもしれません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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